ホンジュラス共和国の経済特区『プロスペラ』でビットコイン及びその他の仮想通貨が法定通貨として認められた。
また、メキシコでもビットコインを法定通貨にする提案書が提出されたとのニュースも報道されており、昨年度に引き続き仮想通貨を法定通貨として認める国は増加傾向にある。
では、実際に仮想通貨を法定通貨にすることでどうなるのか。昨年度、世界で初めてビットコインを法定通貨にしたエルサルバドルの事例を交えて考えていきたい。
目次
2021年9月にビットコインを法定通貨に定め話題を集めたエルサルバドルだが実際にはそれ以降導入が大きく進んでいない。
2022年1月15日〜2022年2月9日にエルサルバドルの商工会議所が実施した調査によると
「ビットコイン法」の施行後にBTCで取引したことのある企業は14%に過ぎなかった。9割を超える企業が、BTC採用による売上への影響はほとんどないと回答している。
COINTELEGRAPH

ビットコイン導入が大きく進まない背景には国民の理解が及んでいないことが大きく考えられている。
Gigazineによると以下の理由が考えているという。以下リストGigazineの引用。
- 政府のヘルプラインの対応が遅い
- 価格が不安定すぎる
- 秘密鍵を忘れると仮想通貨にアクセスできなくなるため
- 秘密鍵を第三者に保有してほしいため
これらの理由が大きく占めているようだ。
「政府のヘルプラインが遅い」事に関してはビットコインを法定通貨にする場合、24時間体制でお問合せ窓口などの設置をする必要がある。理由は下記の通り。
- 実態がないため変えが効かない
仮想通貨のような通貨は実態がないため変えが効かない。つまり、仮想通貨だけで生きていこうとすると通信障害など起こった際に無一文になると言っても過言ではない。
現金があれば復旧するまで現金で生活することや・最悪の場合知り合いから借りておくことも可能になる。しかし、仮想通貨のネットワーク上で問題が起きればそのようなことも難しくなる。
そのため、政府が通信プログラムに問題はないか24時間見張っている必要がある。政府の負担が増えることは間違い無いだろう。
また、各国の責任者に仮想通貨に精通した人がどの程度いるかも問題になってくるだろう。諸外国についてはわからないが現状の日本においてはあまりいない印象を受ける。
これは間違いなく、誰もが思うことで、家計が苦しい場合はなおさらだ。
値動きが激しい仮想通貨において精神的なダメージも大きいだろう。実際にエルサルバドルの際も批判が起こったようだ。
下記画像はCoinCheckのレートを引用。
左がエルサルバドルがビットコインを法定通貨にすると発表した日でビットコインは日本円で5,187,433円になっている。
しかし、その2週間後ビットコインが4,441780円まで下落した。このように短期間での値動きが激しい分国民からの反感もあるのが現状だ。
生活を安定させたい人は仮想通貨を好まないだろう。

これが一番の問題だと私は感じる。実際にエルサルバドルでは国民全員に仮想通貨のウォレットの配布を行なったが使用しているのは限られているという。
エルサルバドルでは国民性上「誰かに管理してもらいたい」気持ちが強く利用に至らないケースが多いとの事だが実際に問題は他にもある。
私が考えられるのは下記の通りだ。
- 秘密鍵の保管場所をどうするか
- 人の資産が丸見えになる
- いつからウォレットを配布するか
- 特定疾患疾患を患ってきた場合
ウォレットを持っている方なら秘密鍵の重要性について理解していると思うが、持っていない人はそうで無いだろう。
秘密鍵はかなり重要で無くなってしまった場合ログインするのは難しくなる。また、他人にバレてしまったら資産を全て抜かれてしまう事になる。
しかし、仮想通貨が法定通貨になった場合、不測の事態に備えて持ち歩く人が増えることは容易に予想できる。これらの保管場所はどうするのか。
これは大きな課題になってくる。
自分の資産が丸見えになることを肯定的に捉える人は少ないだろう。
もちろんいい面もあり、企業や国がどこにどのくらいお金を動かしているかわかるのはとてもいい。
しかし、個人の資産が周りの人から見えてしまうのは、日本人には抵抗があるのではないか。
ウォレットに関しては企業や国は透明性を持たせ個人は選べるなどの対策を考える必要があるだろう。
いつからと言うのは年齢のことである。
仮想通貨が法定通貨になった場合、お小遣いでウォレットに仮想通貨を送る家庭も増えていくだろう。
そのウォレットの秘密鍵を子供の管理にするのか、親の管理にするのかこれは大きな問題だろう。
ほとんどの家庭の場合、子供のウォレットを悪用しようなんて事はないが、全ての人がそうであるとも限らない。
詐欺に巻き込まれるケースも考えられ、問題点は多そうだ。
日本でも、特定疾患に該当している認知症だが初期状態であると気づきにくい。気づいた時には遅いなんて場合もあるが、このような場合は誰が秘密鍵を保管するのか。
認知症でなくても、他にも事故で話せなくなってしまった場合や発音がうまく聞き取れない場合、うまく文字が書けなくなってしまう場合など多くある。
現状は、銀行などの中央集権が管理業務を行なっているため理由を説明すれば対応可能な場合もあるが秘密鍵は別物だ。自分自身しか知らない分伝えることができない場合、資産は無くなってしまう。
一番は信用できる人に秘密鍵を共有するのが良いのだが、やはりリスクは伴ってくる。
このように不慮の事故や病気の際に対応をどうすればいいのか考える必要がある。
ビットコインを法定通貨にする場合、メリットデメリットは多く存在する。
メリットをいかに活かしつつデメリットの対応ができるかが鍵となってくるが、現状は難しいだろう。
日本は仮想通貨の法整備もまだ進んでいないところも多く見受けられ、ビットコインを日常的に使う生活はまだまだ先のようだ。